米国スペシャルレポート:経済見通しの改定

景気後退入りの可能性は依然として高いが、10-12月期に後ずれすると予想:ディスインフレが進行すれば、FRBは来年3月に利下げに舵を切るだろう

野村では、米国は2023年に景気後退に入ると引き続き予想しているが、そのタイミングは10-12月期からになると予想を改定した(従来予想は7-9月期) 。

企業設備投資が景気減速のきっかけになりそうだ。1960年、1970年、1980年、1990年に始まった景気後退と同様に、非住宅用固定投資はピークからボトムまで4.0%減少すると予想している。

家計は金利上昇や金融引き締めに対して抵抗力を維持しているが、我々は消費者が予想される労働市場の悪化を乗り切れるとは考えていない。

ディスインフレ(インフレ減速)が進行中のようであり、年末まで続く可能性が高い。それにより、7月の利上げ後、政策金利は据え置かれよう(7月が最後の利上げとなろう)。

野村の経済見通しにとってのリスクを挙げると、ソフトランディング(軟着陸)の可能性は高まっている。企業設備投資が野村の予想通りに悪化したとしても、労働市場や個人消費が予想以上に影響を吸収する役割を果たせば、景気全体の後退にはつながらないかもしれない。ソフトランディングのシナリオでは、2%のインフレ目標達成に向けた「最後の1マイル」を詰めることが難しくなるかもしれず、インフレ率が約3%でディスインフレのプロセスが停滞するリスクが高まろう。

24年については3月開始で計1.75%ポイントの利下げが実施されるとの予想を据え置く。ただし、野村の金融政策見通しを巡るリスクは、政策緩和が後ずれし、より緩慢になる方向に偏いている。

『米国スペシャルレポート:経済見通しの改定』2023/7/26より

著者

    雨宮 愛知

    雨宮 愛知

    米国 エコノミスト

    Jeremy Schwartz

    Jeremy Schwartz

    Senior US Economist

    Jacob Meyer

    Jacob Meyer

    US Economist