野村ESGマンスリー(2024年1月)

「ダブルコード」はアベノミクスの遺産に

  • 「資産運用立国実現プラン」の実現のために企業価値向上は不可欠
  • 「ダブルコード」が好循環を形成できれば中長期的な株価上昇要因に
  • 米国の金融環境転換で再エネ株価も反転したが、最終的には業績

「資産運用立国実現プラン」の実現のために企業価値向上は不可欠

2024年、日本企業は資本コストや株価を意識し、サステナビリティ課題に取り組みつつ、それらを事業機会として取り込みながら持続的な企業価値向上策を実行していくことが求められる。こうしたコンセプトはコーポレートガバナンス(CG)・コードに規定されており、それを後押しするための機関投資家の行動原則がスチュワードシップ(SS)・コードに定められている。

SS活動強化のために課題とされてきた、大量保有報告制度における「重要提案行為等」や「共同保有者」の範囲などについて、23年12月に金融庁のワーキンググループが議論をまとめたことを踏まえて「資産運用業・アセットオーナーシップ改革」が示され、「資産運用立国実現プラン」の形が整えられた。その実現にはインベストメントチェーン上の各主体(企業、家計、アセットオーナー、資産運用業者、販売会社など)が抱える課題解決の努力が必要であるが、中でも投資収益の源泉となる企業価値の向上は不可欠である。

「ダブルコード」が好循環を形成できれば中長期的な株価上昇要因に

CGコード及びSSコードの「ダブルコード」は、企業価値向上を目的にアベノミクスの一環として制定された。その後実効性を高めることを目的に改訂されたが、制度面の課題が整理されて投資家と企業の対話が強化されやすくなる方向となり、東証の要請もあって企業自身も価値向上の成果をより明確に求められる状況となった。今後、ダブルコードによる企業価値向上と投資家による対話を通じたサポートが構造的に好循環を形成できれば、中長期的な株価上昇期待が生まれやすくなり、資産運用立国に近づくことにもなろう。2024年がそうした好循環のスタートとなることを期待しながら、我々としても関連政策や企業動向の調査を継続していきたい。

米国の金融環境転換で再エネ株価も反転したが、最終的には業績

2024年のESG関連投資を考える上でもう一つ重要なのが、米国の金融環境が引き締めから転換したことによる影響である。グローバルな再エネ関連株価指数は、昨年米国の実質長期金利、すなわち金融引き締め環境と連動する形となった。年末にかけて反転してきたが、風力発電も太陽光発電も関連企業の業績は低迷している。中国企業による供給過剰や政策による後押し加速の欠如が逆風となっているとみられ、株価反転の持続力はこうした業績環境の改善にかかっていると考えられる。


野村ESGマンスリー(2024年1月) 2024/1/11より

著者

    若生 寿一

    若生 寿一

    野村證券 ESGチーム・ヘッド

    元村 正樹

    元村 正樹

    野村證券 シニア・エクイティ・ストラテジスト

    岡崎 康平

    岡崎 康平

    野村證券 シニアエコノミスト