野村ESGマンスリー(2024年3月)

日経平均4万円を通過点にするために

  • 企業価値向上期待がサステナブルになるための取り組みが必要
  • スチュワードシップ活動との両輪が揃い、好循環を形成することも重要
  • ESG課題への対応は中長期的な企業成長のための前提条件

企業価値向上期待がサステナブルになるための取り組みが必要

日経平均株価が最高値を更新、4万円の大台に乗せた。自社株買いの増加や政策保有株の売却加速などで日本企業の資産効率が改善、これが企業価値向上につながるとの期待感が背景の一つとして指摘されている。この株価水準が正当化され、通過点となるためには、これらの資産効率の改善が一度きりの自社株買いなどによるものではなく、中長期的な利益成長を伴う継続的なものになる必要があることは言うまでもない。東証が発表した企業の取り組みの開示事例集では、資産効率改善にとどまらず成長投資の方針などを示して中長期的な企業価値向上を目指す企業の事例が挙げられている。そうした動きがさらに広がっていくことで現状市場が抱く企業価値向上への期待がサステナブルになっていくと言えよう。

スチュワードシップ活動との両輪が揃い、好循環を形成することも重要

企業による価値向上のチェックを後押しするのが機関投資家の役割である。今年度の政策保有株売却加速の背景に、機関投資家の議決権行使基準の改定などスチュワードシップ活動の強化があったことは間違いない。こうした投資家の行動がなければ日本企業の資産効率改善期待がここまで高まることはなかったのではないだろうか。今後も、投資家が企業と建設的な対話を続けて適切な後押しをすることも、中長期的な企業価値向上に必要であろう。

ESG課題への対応は中長期的な企業成長のための前提条件

企業は、地球温暖化など環境への対応、従業員や地域社会を含む様々なステークホルダーとのかかわり方といったサステナビリティ課題への取り組みを求められている。これらはあくまでも中長期的に企業が成長するための前提条件である。環境への対応を単にコストとするのではなく、事業機会とできれば成長ポテンシャルも生まれる。人的資本投資は従業員の生産性を高めて利益成長につなげるために必要である。国際政治情勢が不安定化して原材料の調達や輸送、製品の販売といったバリューチェーンが影響を受けることにレジリエントに対応できる仕組みを準備しておくことも要請される。さらに、個別企業として対応に限界がある際には政策面でのサポートも欠かせない。そうしたミクロ・マクロでの対応の仕組みが作られることが中長期的な日本企業や日本経済の成長を支えるとの考え方をベースに、今後の政府や各企業の動向を見極めていきたい。

野村ESGマンスリー(2024年3月) 2024/3/14より

著者

    若生 寿一

    若生 寿一

    野村證券 ESGチーム・ヘッド

    元村 正樹

    元村 正樹

    野村證券 シニア・エクイティ・ストラテジスト

    岡崎 康平

    岡崎 康平

    野村證券 シニアエコノミスト