2021~22年度の経済見通し

足踏みするコロナ禍からの実体経済の回復:感染再拡大、ワクチン接種遅延による個人消費の回復の遅れを、企業関連需要が補完する展開を予想

  • 2021~22年度の経済見通し改定
  • 個人消費の回復に遅れ、企業関連需要が当面の景気を下支え
  • 原燃料市況上昇を反映し21年度コアインフレ見通しを上方修正

2021~22年度の経済見通し改定

5月18日公表の21年1-3月期GDP(国内総生産)1次速報値を踏まえ、2021~22年度の経済見通しを改定した。21、22年度の実質GDP成長率の野村予測値は、それぞれ前年度比+4.5%、+3.9%である。これらは、前回3月9日時点の予測値*と比べ、21年度が0.6%ポイントの下方修正、22年度が0.9%ポイントの上方修正となる。21年度実質成長率見通しの下方修正は、3回目の緊急事態宣言が発出されるなど、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響による経済活動の下押しが継続していることに加え、ワクチン接種が現時点では本格的に進捗していないことを踏まえたものである。

個人消費の回復に遅れ、企業関連需要が当面の景気を下支え

21年度実質成長率下方修正に最も大きく影響するのは実質個人消費の回復の遅れである。3回目の緊急事態宣言など感染再拡大の影響で21年4-6月期は、1-3月期に続き前期比マイナスを予想する。ワクチン接種進捗の遅れを踏まえ、接種を希望する一般国民全体への概ねの接種完了時期も、21年度末にずれ込むことを前提とした。足元の感染再燃やワクチン接種遅延を受け、GoTo トラベルキャンペーン再開時期も従来想定から半年遅れの21年10月を前提としたこともあり、個人消費持ち直しのタイミングも後ずれすることを見込む。現下の世界的な半導体不足を反映した自動車を中心とする供給制約の影響などから、目先については実質輸出、実質設備投資の見通しをやや引き下げた。しかし、米国、中国における経済活動再開加速や、コロナ禍においても堅調な電子・通信機器需要、自動車需要を反映し、実質輸出や実質設備投資は基調的に堅調な推移を予想している。

原燃料市況上昇を反映し21年度コアインフレ見通しを上方修正

コア(生鮮食品を除く総合)消費者物価上昇率でみたインフレ率については、コロナ禍での需要減少が必ずしも積極的な値下げ行動に結び付いていないことに加え、海外経済の力強い回復期待などを反映した原燃料市況上昇の影響が波及すると見込まれることから、緩やかな持ち直しを続けると見込む。21、22年度のコア消費者物価前年比は、それぞれ+0.9%、+0.9%と予想する(前回比は21年度が0.1%ポイント上方修正、22年度は不変)。21年4月から大手携帯通信事業者がスタートしたオンライン専用型格安料金プランが消費者物価指数に反映されることで、21年度のコアインフレ率前年比を0.6%ポイント程度下押しするが、原燃料市況上昇のインフレ押上げ効果がそれを上回ると予想する。

* 野村では20年3月9日公表の2020年10-12月期GDP(国内総生産)2次速報を踏まえ、21、22年度の実質GDP成長率の野村予測値を、それぞれ前年度比+5.1、+2.9%と同日に改定。


2021~22年度の経済見通し 2021/5/21 より

著者

    美和 卓

    美和 卓

    野村證券 チーフエコノミスト

    桑原 真樹

    桑原 真樹

    野村證券 シニアエコノミスト

    岡崎 康平

    岡崎 康平

    野村證券 エコノミスト

    棚橋 研悟

    棚橋 研悟

    野村證券 エコノミスト

    高島 雄貴

    高島 雄貴

    野村證券 エコノミスト

    新井 真

    新井 真

    野村證券 エコノミスト

    伊藤 勇輝

    伊藤 勇輝

    野村證券 エコノミスト